コメンテーター

選択科目で、「統治機構の現代的課題」というのをとっている。ふつう、憲法の講義というと、”人権”(←私はこの言葉が大嫌いなので、あえてカッコ付きで…)がどうとか、憲法裁判がどうとかやるわけだが、憲法の本来的意義でもある統治機構(国のしくみ)と、まともに向き合う授業だ。

シラバスでは「講義形式」となっていたから選択したのに、蓋を開けてみれば、90分のうち、最初10分は教授がその日のテーマの概要を説明、続く30分をレポーターがレジュメを作ってきて発表、20分コメンテーターが発表を踏まえたコメント、残り30分はフロア(教室)・教授からの質問という、なかなかユニークな形式だった。1回目の授業で、授業の進め方の説明が始まるや、大量の途中退席者が出たのには笑った。

それはとにかく、今日の授業で、私は、もう一人の学生とともに、コメンテーターを務めた。テーマは「議会と政府」。アメリカは「大統領制」で、日本やイギリスは「議院内閣制」というのは、常識として知っている人が多いでしょう。そのあたりの話です。

先週のコメントを担当した人たちは、自分たちを「突っ込み役」と勘違いしたのか、レジュメの誤植を鬼の首でも取ったように指摘したり、発表担当のレポーターに辛辣な質問を浴びせるだけで、フロアの受けは必ずしもよくなかった(と、思う)。そこで、私たちは、「自分自身が答えを用意していない質問はしない」という方針で臨んだ。

私は塾講師の仕事もしているので、人前で話すのはさほど苦手ではないが、法律学というのは、言葉の使い方には非常にこだわるので(どの学問分野でもそうかもしれない)、なかなか緊張した。

「いまのドイツには、連邦大統領(Bundespräsident)がいますが、アメリカのような大統領制と評価することはできません」と、言ったまではよかったが、では「議院内閣制」と言い切ってよいのか自信がなくなり、お茶を濁すと、案の定、後で教授から突っ込まれ、汗をかいた。

だが、おおむね、時間通りに(担当の教授は、"punctual"にとてもこだわる。発表・コメントが制限時間をオーバーすれば、それだけでマイナス評価)、「コメント」らしいコメントができたと、自画自賛している。