プロフェッション

きょうの午後、大学から早く帰ってきて時間があったので、近くの医院に、インフルエンザの予防接種をしに行った。

予防注射はどのくらい効くのか、と思われる向きもあろうから、私自身のデータについて書いておく。平成11年まで、私は、一冬に一度、決まったようにインフルエンザでダウンしていた。とくに、高2の時など、3月の学年末試験前に発症した。インフルエンザは「学校伝染病」なので、受験したくても登校禁止。その間のテストは、見込み点(これが、「激甘」だった)をつけてくれるが、世界史はどうしても自力で受けたかったので、医師に頼んで、診断書の登校可能日を繰り上げてもらった(文書の無形偽造だが、もう時効だろう)。

その翌シーズン、すなわち平成12年は、大学受験ということで、初めて予防接種をした。すると、これが効果絶大で、毎年のようにかかっていたインフルエンザと無縁になった。以来、欠かさず注射している。

お世話になっているのは、O内科。ここの医師は、尼崎の下町で開業させておくのがもったいないくらい、清廉潔白・勉強熱心なのだ。

インフルエンザの予防接種をふつうの医院で打つと、ワクチン代に診察費が加算されて、3000円ないし4000円くらいする。うちの近所のT小児科・内科など、5500円もとっている。ところが、O内科は、2100円。実は2100円というのは、インフルエンザワクチンの薬価(薬の定価のこと)である。つまり、O先生は、ワクチンの実費だけで、タダで注射をしてくれているのだ(それどころか、注射器・針代は「持ち出し」である)。

今夏のペルー渡航を前に、A型肝炎の予防接種の相談をした時、O先生は、「A型肝炎のワクチンは8400円と高く、しかも2回接種ですから、先に、抗体ができていないか調べられたらどうですか」。

結果、これが当たりで、すでにHA抗体ができていた。また、A型肝炎のほかに、途上国で注意すべき感染症を、知り合いの専門医に頼んで、調べてくれたりもした。

こういうお医者さんと話していると、「医師」へのイメージが、変わる。私は、高校時代、進路を決めるにあたって、医学部など、考えたこともなかった。検察官以外、心になかったし、一方で、医師に対するネガティヴなイメージを、捨てきれなかった。

そんな私だが、最近、「医師もいいな」と、思うようになった。ローマ時代以来、医師・法律家は、神学者と並び「三大プロフェッション」と称されてきた。職業ではなく、「いい仕事」をしている人たちこそ、素晴らしく、かっこいいのである。