2008-01-01から1年間の記事一覧

平成20年を振り返って

1万7331マイル(2万7890キロ)。これは,この一か月の私の総飛行距離である。まだ日記には書いていなかったが,12月1日から6日まで,アメリカ大陸横断の旅・後編に出かけ,13日から15日までは沖縄・八重山諸島,さらに19・20日は実務修習地の秋田へあいさつ…

11年間思い描いた,この日

12月18日付けをもって,私は,東京地方検察庁検事に任官する。 私が検事を志したのは,中学3年生だった平成9年の秋だったから,11年越しの夢が,ようやくかなう。 振り返れば,視界ゼロの連続であった。 平成16年3月,当時就職活動をしていたJR東海に入らず…

遠慮を忘れた日本人

「バス運転手 障害者に暴言放つ」長崎県佐世保市などで運行する西肥(さいひ)バスの男性運転手(46)が9日、停留所への止め方を注意した市内に住む障害者の男性(49)に対し「この人は文句を言うので有名で大変な人」などと、他の乗客がいる車内で言い…

おかしな文民統制

平成11年、わが国は、当時の小渕総理の「勘違いリーダーシップ」のせいで、対人地雷禁止条約に署名した。この時、地雷は、防衛すべき海岸線の長い島国・日本にとって有効な軍事抑止力であるという議論はほとんどなされず、「地雷は悲惨な兵器だから禁止すべ…

試験よ,さらば!

中学入試,大学入試,ロースクール入試,司法試験…。 これまで,数え切れないくらいの試験を受けてきたが,これほど大がかりな試験としては人生最後であろう「二回試験」が,今月19日水曜日に始まり,26日水曜日に終わった。 この「二回試験」という呼び名は…

秋色の日本を探しに

研修所での集合修習の起案ラッシュも終わり,「鉄分」が不足気味だったので,どこかへ出かけることにした。 1日で帰ってこられる目的地を考え,茨城方面もいいなと思いかけたが,「時刻表」を眺めているうちに,会津へ行きたくなった。全国に約200線区あるJR…

空幕長論文―何か問題でも?

21世紀になってもこの国は,敗戦国シンドロームの「言論統制」から抜け出せないようだ。 田母神俊雄航空幕僚長が,民間の論文に「わが国が侵略国家だったというのは正にぬれぎぬだ」などと寄稿していたことが明らかになり,中韓両国との関係を慮った政府は,…

山之内秀一郎さんを偲んで

実務修習地の秋田から埼玉県和光市の司法研修所に異動して,2週間が経った。国鉄時代の官署名でいうと,秋田鉄道管理局(現JR東日本秋田支社)から東京北鉄道管理局(同大宮支社)に異動したことになる。 その間,日記を書くのをさぼっていたが,これは,来…

秋田修習に悔いなし

秋田は,今日の午後から,冷たい雨が降り始めた。昨日から気温もぐっと下がり,秋をすっ飛ばして冬の走りのような,そんな天気である。明日の引越しに備え,荷造りを終えてがらんとした部屋は,一段と寒々しく,人恋しさが募る。私は,秋田に来て間もないこ…

グッバイ・ジェントル・ランド

中学高校時代の「席替え」に始まり,およそ,いったん落ち着いた場所から移動することの嫌いな私にとって,今日は,目の回るような一日である。呑気に日記を書いている場合ではないのだが,後世の記録のためにも書き記す次第である。まず,明日から一週間の…

夏の終わり

冬をこよなく愛し,夏の暑さが何より嫌いな私は,これまで,過ぎ行く夏への未練など感じたことがなかった。蒸し暑くて,うっとうしいだけの夏など,早く去ってくれと思っていた。ところが,今年は,猛暑日も熱帯夜もない秋田で過ごしたせいか,「夏の終わり…

福知山線事故書類送検に思う

平成17年4月25日に発生したJR福知山線列車事故を捜査してきた兵庫県警の尼崎東署捜査本部は,JR西日本の山崎正夫社長らを,業務上過失致死傷の疑いで,週明けにも書類送検(事件の記録を,起訴・不起訴を決定する権限を持つ検察官に送ること)するようだ。 …

福田さん,あなたは日本を潰す気か

この総理にして,この辞め方あり―。 近年まれに見る無能な総理は,最悪の辞め方で官邸を去った。辞任会見を少し見たが,何を言いたいのかさっぱり分からず,去るなら早く去ってくれと思うばかりであった。 辞め方(総辞職のやり方)としては,民主党が主張す…

正義の対立

「医療側からみて理解不能な刑事訴追の典型が大野病院事件だ。検察官は能力はあるが、使う方向が間違っている」 業務上過失致死罪に問われた福島県立大野病院の産科医、加藤克彦被告(40)に対する判決を控えた7月28日。日本医学会が東京都内で開いた「…

I Will Be There With You

先週一週間,秋田修習組は「自由研究日」だったので,私は,アメリカ大陸横断鉄道(サンフランシスコ〜シカゴ間)の「研究」に出かけてきた。ちなみに,修習生は,修習専念義務を負っていて,海外渡航にあたっては許可が必要なので,出発当時の配属先である…

堂々たる「アジアの盟主」たれ

正式発足した福田改造内閣のテーマは「安心実現内閣」だそうだ。たしかに,年金や医療などの社会保障政策は,重要な政治課題である。きたるべき総選挙を見据え,内政重視の布陣を敷くのは当然かも知れない。しかし,世界に目を向けたとき,これ以上,福田総…

秋田で過ごす夏

この1か月,日記を書くのをさぼっていたが,その暇もないくらい,修習に没頭していたということにしておく。 25日限りで,第四クールの検察修習が終わった。従来なら,これで実務修習は終わりだったのだが,新しい制度になり,9月末までの2か月は「選択型修…

ジンバブエ情勢―主張せよ,日本外交

3年前,いわゆる「郵政総選挙」での自民党の大勝を,外国メディアは"landslide victory"(地滑り的勝利)と報じた。 今度は,"sweeping victory"(他者一掃の勝利)だそうだ。現地時間の今月27日,国際社会からの批判にも拘らず強行された,ジンバブエの大統…

もう許さない!―対北朝鮮外交の混迷―

歴史の評価は後世によってなされるもので,その渦中にいる者は,ただ,時の流れに身を任せるだけである。一つ確かに言えることは,ブッシュ米大統領は,後世,第二次大戦前夜の「ミュンヘン会議」でナチスに宥和政策をとったネヴィル・チェンバレン英首相と…

長崎の事件を受けて

すでに報道等でご存知の方もおられると思うが,長崎地裁配属の修習生が,取調べ修習の様子などをブログに書いたとして問題になっている。司法修習生は,裁判所法・司法修習規則に基づき,「守秘義務」を負っている。人の秘密を扱うのが法律家の仕事であり,…

レールが結ぶ,アフリカ大陸。

きょう,横浜で第4回アフリカ開発会議(TICAD)が開幕した。アフリカ53ヵ国のうち,無政府状態が続くソマリアを除く52ヵ国が代表団(うち,40ヵ国は首脳クラス)を送り込んでおり,アフリカ諸国との関係強化をめざす日本にとって,またとない好機である。以…

わが青春に悔なし

今夜,NHKのBS2で,黒澤明監督の映画『わが青春に悔なし』(昭和21年)をやっていたので,途中から見た(それまで,「ごくせん」を見ていたため)。 京大法学部出身者には,ことのほか考えさせられるところの多い映画である。 というのも,映画のモチーフと…

胡錦濤来日―熱烈歓迎などできぬ

中国の胡錦濤国家主席が,きょう,来日した。中国の国家主席の来日は10年ぶりで,親中派論者は「暖かい春が来た」「日中の戦略的互恵関係は歴史的スタートラインに立った」などと,大はしゃぎしている。しかし,国際政治の現実を冷静に直視すれば,日本は,…

北の社交場

秋田22時31分発の大阪ゆき寝台特急「日本海」で,関西に帰省する。秋田に赴任してから,列車で帰るのは今回が初めてだが,この「日本海」というブルートレインは,私にとって,思い出の列車のひとつである。平成14年の夏,JALの特典航空券で中国を旅した後,…

ください,その命。

硫化水素といえば,中学・高校の理科の授業で,一度くらい作ったことのある人が多いだろう。腐卵臭のする,あの気体である。 理科実験で少量の硫化水素を発生させたくらいなら,鼻をつまんでいれば済むが,ホテルや浴室等で高濃度のガスを発生させて,自殺す…

聖火リレーは 何を運ぶ

ご承知のとおり,チベットでの中国・人民解放軍による強権的民族弾圧・人権蹂躙に抗議する国際世論の高まりを受けて,北京五輪の「聖火リレー」は,世界各地で妨害に遭い,混乱以外の何物ももたらしていない。「産経新聞」をはじめ,中国とはとかく対立する…

医師と法律家のあいだ

いま研修医をしている高校時代の友人と,約束したことがある。「医療事故を『犯人探し』を目的とする刑事手続きで処理するのではなく,事故原因の究明・再発防止を図る制度を,医師・法律家として,ともに実現しよう」と。今月3日,厚労省が発表した「医療安…

リーダーたちの言葉2008

昨年に引き続き,今年のJRグループ本州3社の入社式における,幹部の一言を紹介したい(「交通新聞」より引用)。 ◇JR東日本・清野智社長 「現状を変革し、10年先の新たな目標に向かい、社員一丸となってチャレンジしていこうという決意の下、『グループ経…

JRグループ・その後の1年

JRグループ・その後の1年(目次)はじめに 1 投資が続く都市圏輸送 2 夜行列車が消える日 3 会社間協力体制の萌芽 4 高速鉄道の未来 おわりに はじめに ちょうど1年前,JRグループ発足20周年を記念し,『JRグループ二十年の展望』(以下,『展望』)を上…

北京五輪をボイコットせよ

以前から思っているのだが,中国政府というのは,なかなかユーモアのセンスがある。 チベット自治区・ラサで発生したデモは「ダライ・ラマ14世が組織的に計画した破壊活動」なのだそうだ。 3年前のいわゆる「反日暴動」で,日本大使館が襲撃された時は,「自…