キドウシャ

世の中あらゆる業界には、専門用語や特有の言い回し、漢字の読み方などがある。たとえば、「遺言」「競売」は日常語ではユイゴン・キョウバイだが、法律家はイゴン・ケイバイと読むし、「高架」「架線」を、鉄道屋は「コウガ」「ガセン」と読む。

さて、郵便局で、外務ゆうメイトを集めて、交通安全の訓示があった。ゆうメイト代表の一人が、「無事故の誓い」だったかを読み上げたが、その中に、気になって仕方がない言葉が出てきた。

キドウシャ乗務にあたって…」

キドウシャ=気動車。鉄道屋の私の頭は、即座にそう変換したから、「???」となった。

なぜ郵便屋が気動車に乗務するのか、鉄道郵便輸送は昭和61年に廃止されたではないか!
(注、かつては、郵政省保有の鉄道「郵便車」があり、郵政省職員も仕分け作業などのために乗務していた)

よくよく話を聞いていると、キドウシャというのは、ここでは「機動車」と変換すべきらしいことがわかった。

局員さんが、「機動車」と言いかけて、「バイク」と言い直す場面もしばしばあり、郵便屋のいう「キドウシャ」とは、「バイク」のことらしい。

なるほど、「機動隊」という言葉もあるように、小回りの効くバイクを「機動車」と呼ぶのは、なかなか言い得ている。

ゆうメイトのなかで、私だけが、一人ウケていた。