つばさよつばさ

JALが、MD87型機一機を検査期限を超過したまま運航していたようです。運航トラブル続発を受け信頼回復に努めている中で、また。これまでに何度、「再発防止に努める」というコメントを聞いたことかと思いますが…。

私はなぜかJALのファンで、国内線も国際線も、JALしか乗りません。というわけで、今回はJALの機内サービスについてのお話。

まず、一般の関心が高いであろう、機内食。十数年前、初めてJALの国際線(伊丹−ホノルル)に乗った頃の記憶では、街中のファミリーレストランなどと比べても、おいしかったように思います。子供だからそう感じたのかな? ともかく、最近のJALのエコノミークラス(Yクラス)の機内食は、思わず、「JALの社長は、自分の会社がどんなものを客に何を出してるのか、知ってるのかな?」と思ってしまうことが、時々(というより、しばしば)あります。

私は、ご飯をいただけるだけでありがたいと思っているので、文句はないです(私も安い運賃ばかりで乗っているので)。ただ、JALに乗ったことがない人は、少なくともYクラスの食事には、「天下のJAL」という期待を抱かないほうが、ショックを受けないかと思います。

つぎに、エンターテインメント。機内の映画というと、窓の日除けを下ろして、照明を消して、スクリーンで上映…、というのは、はるか昔の話。いま、JALの国際線の主力機材は、B747-400(いわゆるジャンボジェット)とB777ですが、Yクラスでも個人用テレビがついていて、映画は10チャンネル以上(「トリビアの泉」もある)、音楽は18チャンネル(国内線の2倍)、ゲームも、テトリス・オセロ・トランプ…、10種類くらい楽しめます。機外カメラ(Bird's Eye Camera)の映像が見られるのも、いいですね。とにかく、退屈することはありません。

ちなみに、今回のモスクワ往復では、行きは、『男たちの大和』を初めて見て、「大和」最後の戦闘〜沈没に至るシーンでは、機内ということも忘れて涙し、帰りは、とくに見たい映画はなかったけれど(ハリー・ポッターなどをやっていたが)、適当に見始めたアメリカ映画『夢駆ける馬・ドリーマー』(日本未公開)の純朴さに、ほのぼのとした気持ちにさせられました。この映画、馬が好きな人には一押しです。

最後に、実はいちばん書きたかった、この話。JALの国際線機材のお手洗いには、歯ブラシセットが備えられています。このとおり一応、公式サービスなのですが、知ってる人はほとんどいません。私はなぜか知っていて、いつも利用させてもらってますが、知らなくても無理もありません。

というのは、機内のどこにも、歯ブラシがあるという案内がないのです。ヨーロッパ線にB747-400が使われていた頃(といっても、ほんの1年前まで)は、お手洗いの洗面台の脇に、何も書かれていない引き出しがあり、そこに歯ブラシが入ってました。できることなら、あまり使ってほしくない、という姿勢が窺えます。

JALヨーロッパ線の主力は、エンジン4発の「ジャンボ」より効率のよいB777(双発機)になり、どちらのシップも私は好きなのですが、この「歯ブラシサービス」に、ちょっとした変化がありました。

食事後、さて歯ブラシを使ってやるか、と内心ワクワク(?)しながらお手洗いへ。ところが、B777では、壁面の引き出しそのものがなくなっていました。

???

私は、一度閉めたドアを開き、客室乗務員(CA)さんに、
「歯ブラシって、ありませんでしたっけ?」
すると、CAさんは、ちょっと失礼します、と言うと、洗面台下にある、「生理用ナプキン」と書かれたところを、躊躇わずに全開。なんと、そこに、歯ブラシも同居していました。

歯ブラシは使うな!という、JALの強固な意志が伝わってくるようです(笑)。これでは、気づけというほうが無茶でしょう。私は今回、トイレに立つ度に、ゴミ箱の中をわざわざ覗いて見てみましたが、他の人が歯ブラシを捨てた形跡は、案の定なし。皆さん、JAL国際線に乗られたら、歯ブラシを探せ!です。

ところで、今回のタイトル「つばさよつばさ」とは、JALの機内誌『Skyward』の連載記事で、『鉄道員(ぽっぽや)』などでおなじみの浅田次郎さんの執筆コーナー。毎回、結構面白くて、『Skyward』で必ず読むお気に入り記事ベスト3(あと二つは、『バカの壁』の養老猛司さんの「旅する脳」・JALの現役機長による「パイロットの航空教室」)ですが、今回(3月号)は、もう爆笑!

気になる方は、3月中に、JALグループの翼にご搭乗ください☆