カルトはびこるロシア

http://www.sankei.co.jp/news/060411/kok101.htm

「ロシア専門官」(自称)として、このニュースは非常に興味深い。

カルトはともかく、ソ連崩壊後のロシアでは、「教会」建設ラッシュが続いている。モスクワでは、かつてスターリンに爆破された「救世主キリスト教会」が2000年に再建されたのが象徴的だ(ちなみに、設計したのが天井崩落事故を起こしたプールと同じ建築家だったことで、波紋を呼んでいる)。

私の分析だが、ロシア人は、「唯一絶対的なもの」を求める傾向が強いように思う。ソ連時代は、いうまでもなく「共産党」がその役割を一手に引き受けてきた。ソ連崩壊は、ロシア人にとって、精神的支柱の崩壊でもあったのだ。

90年代半ば、オウム真理教がロシアで勢力を急拡大したり、若者の一部は「スキンヘッド」と呼ばれるネオナチに走る現象が見られた(「ネオナチ」のほうは依然拡大傾向にある)。いずれも、支えを失ったロシア人の「不安」の現れだろう。

日本人は、いちばん近い(宗谷岬からは、サハリンが見える)隣国・ロシアのことを、もっと知るべきだと思う。相手を知らないで、交流も何もない。

その点、NHKが今年の語学講座(教育テレビ)から、ロシア語を事実上「廃止」(早朝枠に昨年度版の再放送のみ)したのは、遺憾極まりない。日本人よ、もっとロシア語を学ぼう!