輸送障害

昨日午前4時18分、JR京葉線・東京−葛西臨海公園間で停電事故が発生、京葉線は全線で運転を見合わせ、全面復旧に丸一日以上を要するトラブルとなった。

国土交通省はきょう、JR東日本の清野社長を呼びつけて「警告書」を手交している。首都圏では、今春以来、線路付近での工事ミスによる輸送障害事案が2件続いており、国としても看過できなかったのだろう。

JR東日本は、原因の詳細については「調査中」としているが、事実関係は「電力系統に地絡が発生し、著大な電流が京葉線東京駅のポイントを介して信号機器室へ流れたため、信号機器の焼損が発生した」というものである。

電力系統になんらかのトラブルがあったとしても、本来なら、ブレーカが作動するはずのところ、これが作動せず、レールを介して、信号回路に大電流が流れたのだからたまらない。信号やポイントを操作する継電器(リレー)は、黒焦げだったという。
(ちなみに、電車がパンタグラフで架線から取り入れた電気は、レールへと流れてゆく。)

今回のトラブルは、「鉄道事故」でこそないものの、JR東日本は重く受け止める必要がある。いま、JR東日本は、Suicaをはじめとする鉄道附帯(関連)事業、"ecuteエキュート)"というブランド名で展開中の「駅ナカ」ショッピングモールなど、生活サービス事業を強力に推進している。

だが、鉄道会社にとって、何より大事なのは「安全・安定輸送」である。安全で、利用しやすく、快適な輸送サービスの提供は、最も基本的な「サービス」である。

国鉄改革で誕生したJRグループ各社は、旧国鉄の莫大な財産を包括承継したが、それは、「遺産相続」で得たのとはわけが違う。「鉄道」という公共性の高さゆえに、国民から「信託」的に与えられたものである。

JR東日本は、鉄道事業という原点に立ち返って、安全・安定輸送の確保に邁進してもらいたい。