制裁決議

http://www.un.org/News/Press/docs/2006/sc8853.doc.htm

国連安保理で、北朝鮮に対する制裁決議が全会一致で採択された。安保理決議は、国連加盟国を法的に拘束するきわめて強い力をもっている。

さて、決議文中、いわゆる「臨検」について触れたのは、下記の部分である。

(The Security Council decides that) in order to ensure compliance with the requirements of this paragraph, and thereby preventing illicit trafficking in nuclear, chemical or biological weapons, their means of delivery and related materials, all Member States are called upon to take, in accordance with their national authorities and legislation, and consistent with international law, cooperative action including through inspection of cargo to and from the DPRK, as necessary;
(決議1718第8項(f)号)

決議の他の箇所では、「加盟国は措置をとらなければならない」(shall)と表現しているが、ここでは、「加盟国は協力行動を要請される」と、ややぼかされている。臨検には中国が難色を示したためだ。

ところで、臨検について、さっそく、日本国憲法9条2項後段が禁じる「交戦権」の行使にあたる、などという摩訶不思議な説が飛び交っている(一応、通説とされる)。

しかし、以前にも書いたように、国連中心の集団安全保障体制に立脚して「平和主義」を掲げたわが憲法が、国連憲章に基づく合法的な措置を違法(違憲)と評価することは、奇妙である。

北朝鮮の核によって、もっとも平和を脅かされるのは、他でもないわが国なのであり、屈曲した憲法解釈を盾に国際貢献を拒否し続けることは、国際信義上許されない。現実問題として、憲法9条2項が死文化していることはいうまでもなく、解釈改憲をしてでも、国際協力の姿勢を示すことが重要である。