超・英語勉強法

いつも、およそ「日記」と呼べないような、論説文もどきを書いているが、きょうは、少し個人的なことを書いてみたい。

法律の勉強からしばし解放されたこの機会に、これまで時間をとれなかった、英語の勉強を再開した。この日記を読んでくださる方の多くは、大学受験等を経験され、英語もそれなりに勉強してこられたと思う。だが、「なかなか英語を使いこなせない」、そう思っている方が多いのではないか。

そういう人に、お薦めの勉強法を紹介したい。用意するものは、ネイティブがそこそこの長さの英文を吹き込んだCDと、英文のテキスト(スクリプト)と、その邦訳である。教材は、なんでもよい。R☆出身者なら、「プログレス」のBook3あたりと、CDリピーターが残っていれば、何も新しく買う必要はない。手に入りやすいものとしては、Z会の『速読英単語・必修編』(CDは別売)などがある。

これらをどう使うのか、であるが、英語がある程度できる人は、CDを流して、何も見ずに、それをディクテーション(CDの音声を、聞き取るそばから復唱してゆく)するだけである。なんだ、そんなの、と思われるかもしれないが、侮るなかれ。驚くほど、「できない」はずである。

一回終わったら、スクリプトを見て、聞き取れなかった箇所・間違った箇所を、徹底的にチェックする。文字通り「徹底的に」である。例えば、テキストにはない"the"を付けていないか、勝手に複数形にして"s"を付けていないか、"a"の発音が"an"になっていないか、等々。

英語が得意でない人や、上であまりに間違いが多かった人は、テキストを目で追いながら、ディクテーションをするとよいだろう。そして、ある程度慣れてきたら、スクリプトを見ずに、CDの音だけで挑戦する。

「英語が使えない」というのは、聞き取れなかったり、英語独特の言い回し(パターン)のストックがないことによる。ディクテーションは、これらの能力向上に、非常に効果的なのである。プロの同時通訳にも、この方法で、鍛えた方が多い。

最近、英会話教室が派手なCMを展開している。私は、それを利用したことがないから、内情は知らないが、「いい天気ですね」レベルの不毛な会話を重ねることに、意味があるとは、とても思えない。

どんなに「私は英語ができません」と言う人でも、日本語の通じない外国に行って、英語が通じると、まず「ほっ」とするはずである(もちろん、現地語を話せるのであれば、話は別であるが)。中学・高校で6年間、英語を学んできたのだから、機会さえあれば、日本人は英語が話せるのである。

だが、英会話教室の場合、その段階で止まっているのではないかと思う。必要最小限の意思疎通と、コミュニケーションとは、別物である。英会話教室の講師は、たとえ生徒の英語が不十分でも、言わんとするところを汲み取って、理解してくれるだろう。たしかに、通じている。けれども、ただそれだけのために、高い受講料を払って、通う価値があるかといえば、私は、「ない」と断言したい。

それよりは、上にも述べた、ディクテーションを、ひたすら愚直に、繰り返すことである。それも、同じ教材を繰り返し、繰り返し使うことである。そのほうが、上達を実感できるので、楽しい。

飽きてくれば、次のテキストに移ってもよいが、辞書を引かずには英文自体の意味がわからないようでは、モチベーションが下がってしまう。「邦訳」つきの英文を用意、というのは、その手間を省くためである。

英語をなんとかしたい、と思う人は、騙された、と思って、この方法を試してみることをお薦めする。半年後には、英語のドラマ・映画なども、字幕なしで理解できるようになっていることだろう。