中国脅威論

今日は、安全保障の話をしよう。わが国はいま、世界で最も危険な状況にある。なにしろ、隣の半島には世界一話の通じぬ独裁国家があり、その向こうには、過去にチベット・ヴェトナムなどに平気で武力侵攻し、「中華思想」なる幻想にとりつかれた、核兵器も持つ覇権主義大国がある。

先日、その中国が、二度目の有人宇宙飛行を成功させた。中国は、国威発揚・軍事目的のためにこれを行なっているようなところがあり、場合によっては、宇宙条約(正式名称は"Treaty on Principles Governing the Activities of States in the Exploration and Use of Outer Space, Including the Moon and Other Celestial Bodies"という)4条違反の疑いがあるから、注意深く監視してゆく必要があるのはいうまでもない。

ところで、わが国も最近、「情報収集衛星」を打ち上げたが、これで中国や北朝鮮の脅威に対処できるかというと、心許ない。衛星画像の解像度が1メートル四方程度にとどまっているからだ。いっぽう、合衆国の偵察衛星は、10センチ四方のものを識別できるといわれる。普通に考えれば、世界一の電子技術を誇る日本が、合衆国に負けるわけはないのだが、昭和44年の「宇宙の開発、利用は平和目的に限り行なう」という国会決議に縛られているのだ。ここにも、戦後の「反戦平和」思想が、影を落としている。

宇宙条約4条によって禁止されるのは、「大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せ」ることであり、偵察衛星を配備することは、条約に違反しない。上の国会決議は、いわゆる「非核三原則」同様、政治的宣言にすぎず、法的拘束力をもたないのはむろんである。現在2基で運用中の情報収集衛星を来年4基態勢にする前に、性能を改めて検討すべきだ。

こういう議論をすると、国内の某新聞や某政党は、東アジアの某3ヵ国と一緒になって、「軍事大国化」だの「いつか来た道」だのと大騒ぎする。しかし、核ミサイルの照準をわが国に向けている中国に、軍国主義などと批判される筋合いはない。むしろ、逆なのである。

日本の国防は、「専守防衛」によることとされている。そうであるならなおさら、「正確な情報」が、何より重要なはずだ。戦後民主主義のもと蔓延した「軍事アレルギー」から脱却できなければ、わが国の平和と安全は守れない。