「土佐」取材記録

早朝4時半、高松東港に接岸。連絡バスでJR高松駅へ。高松駅の朝は早く、もう「みどりの窓口」も開いている。同行の友人が、駅前のうどん屋が開店準備を始めていることに気づき、特攻。朝5時のNHKニュースを見ながら、讃岐うどんを賞味。やっぱりうまい。うどんより断然そばが好きな私でも、讃岐に来ればうどんを食べずには帰れない。それほどうまい。

特急「しまんと1号」で後免へ。大歩危小歩危景勝地を通過したはずだが、ほとんど寝ていた。帰りにまた通るから、いいや。後免から普通列車で一駅高知寄りに進んだ、土佐大津駅で下車。ここの駅の近くのカーブが、撮影ポイントだ。撮影地で、前日から高知入りしていた友人と合流。旅は一人旅に限る、と公言している私だが、「撮影取材」は、何人かいるほうが、心強い。

むかむかするようなセイタカアワダチソウの群生した農道から、リバイバル急行「土佐」の走りを撮影。天気は快晴で、キハ58の国鉄色はいちだんと輝いて見える。美しい!駅に引き返し、特急「南風10号」で、「土佐」を追いかける。「土佐」は急行だが、臨時列車なので、特急はおろか、定期の普通列車にも抜かれる始末。特急を使えば、何回も撮影が可能なのだ。

再び、大歩危を通る。土讃線随一の景勝地で、車内放送でも案内されるが、「こんなものだったっけ?」と思う。車窓の印象というのは、その時の条件次第で、良くも悪くもなる。阿波池田駅で、下車。

駅名からわかるように、ここは徳島県である。きょうだけで、四国4県のうち、愛媛を除く3県を制覇。だから、どうということはないが。

阿波池田駅のそばで、駅に進入する「土佐」を二度目の迎撃。目標の列車に対して順光で、暑くもなく寒くもなく、この上ない撮影日和だ。我々は、特急「南風12号」で、今度は「土佐」より先に、阿波池田を出発。きょう3度目の特急で、JR四国に、だいぶ貢献した。

四国山地土讃線で最も急峻なサミットを越え、琴平で下車。ここで、3度目の「土佐」の撮影。撮影地それぞれ、味のある構図で仕留められた。これで、きょうの取材は終わり。駅近くのうどん屋に入り、またも讃岐うどんの昼食。コシのあるうどんを、大根おろしと醤油をかけて、そのまま食べる。実にうまい。

ここからは、大阪まで帰るだけだ。といっても、基本的に、鉄道が好きな3人であるから、移動そのものを楽しみながら。瀬戸大橋を渡る「マリンライナー」は、プラス510円でリクライニングシートに座れる指定席にしようとしたが、MARSを叩いてもらうと「残席3」で、離れ離れになってしまうので、自由席に。

明るいうちに瀬戸大橋を渡るのは2年ぶり。通路をはさんだ席で就活の話をしている2人の会話を聞くでもなく聞きながら、目を閉じて、2年前の回想に耽っていると、いつの間にか眠っていた。

マリンライナーを自由席にしたかわり、というわけではないが、岡山から相生までは、新幹線「こだま」でワープ。在来線だと1時間以上を要し、退屈極まる区間だが、新幹線100系のゆったりしたシートで20分くつろげは、もう相生である。

相生からのアンカーは、おなじみ「新快速」。実質日帰りで、はるばる四国は高知まで行ってきたわけだが、全く「遠い」という感じがしない。ちょっと「小旅行」をしたくらいの感覚だ。これは3人とも同意見で、それだけ我々が全国飛び回っていることの証左であるが、旅慣れても、旅ごとの感動は、忘れないようにしたい。