いつの日か、また

きょうは、朝から大移動である。定期試験の成績発表があるので、17時までに京都・百万遍に着かなければならない。

陸別6時33分の始発で、池田に向かう。泣いても笑っても、池北線はこれで最後。もう、この鉄路には乗れないのだと思うと、万感胸に迫るものがあり、襟を正して車窓を眺める。

十勝平野に入ると、霧がかかりだした。鉄道は、信号の色さえ判別できれば、前が見えなくても基本的に安全だから、あまり心配する必要はないが、池田から乗り継ぐ特急「スーパーおおぞら2号」と、JALの接続が気に掛かる(新千歳空港で30分しかない)。

池北線は案ずることもなく定刻に池田に到着。これなら、1本後の列車でもよかった。駅員が、「足元滑りますのでご注意ください」と言う。確かに、アスファルトスケートリンク状態だ。こういうときは、足を地面から上げずに、滑らせる感じで歩くとよい。後ろにこけると頭を打つので、前傾姿勢をとることもポイントである。気を付けているつもりでも、私は去年、モスクワ大学の近くで、女子大生の目の前で転倒し、赤面したことがある。

到着した根室本線普通列車から、高校生がぞろぞろと降りてくる。彼(女)らにとっても、これほど滑るのは珍しいようで、黄色い悲鳴があちこちで上がる。男子の中には、スケートのように滑って楽しんでいる者もいる。駅前広場に立って、そんな光景を眺めていると、女子高生が、階段で引っ繰り返った。あッ、と思うが、周りの友達が介抱しているので、見守るだけにする。

待ち時間のうちに、携帯電話でJAL便のチェックイン(WEBチェックイン)を済ます。これで、空港のカウンターに立ち寄る必要はなく、手荷物検査場に直行し、JALカードをICOCAのようにかざすだけで、そのまま搭乗できる。紙の航空券・搭乗券は、発行されない。便利な時代になったものだ。

スーパーおおぞら2号」は、JR北海道自慢の振子式気動車・キハ283系を9両も列ねて到着。北陸本線の「サンダーバード」も9両だが、気動車は、同数の電車以上の迫力がある。

北海道というところは、冬に列車が込むという特性がある。ひとえに道路状態が悪化するためで、JR北海道も「冬こそJR」と売り込んでいる。9両もつないでいるのに満席で、部外者の私も嬉しくなる。

新得のあたりでは、樹氷が見られた。今朝は曇りで冷え込みは弱かったが、標高が高いだけある。近くの席のおばさんが、「しばれたんだね」と話している。しばれる、とは北海道弁で、寒い、凍える、という意である。

石勝線に入り、先週の「ハニカミ」でデートの舞台となったトマムに停車。リゾートのスキー場には、人っ子一人いない。リフトも止まっている。大いに謎である。

もうすぐ、南千歳だ。ここで、新千歳空港線に乗り換える。
さらば、北の大地よ。また会う日まで!