ダスビダーニャ、ロシア!

ついに、ロシアを去る時が来た。今月6日に、モスクワ・シェレメチェボ空港に着いて、ちょうど2週間。長くなかったといえば嘘になるが、密度の濃い2週間だった。そのうち半分を、シベリア鉄道で過ごしたことになる。

昨夜、ロシア最後の晩餐に、ネフスキー通りのイタリア料理店を選んだ。ウオッカで乾杯するのも、何回目だろう。ウオッカにもいろいろな銘柄があるので利き酒してみたが、「フィンランディア」が一番口に合う。50mlで110ルーブル(440円)ほどするが、実にうまい。アルコール度数は40度くらいなので、ロシア人なら一気飲みしてしまう量の中に、ビール1缶以上のアルコールが入っていることになる。

それにしても、私の担当のウェイトレス(ロシア語でジェーブシュカ)の可愛いこと!今すぐにもお持ち帰りしたくなるカルパッチョをつついて、彼女を目で追いながら、「フィンランディア」を飲んだ。

イカスミとイクラのスパゲッティを食べ、久しぶりのうまいコーヒーに満足し、2時間近くゆっくりして、勘定を済ませて帰ろうとすると(注、日本以外の国では、レストランでは自分の席で支払う。わざわざレジに出向くよりスマートだと思う)、ロシア美人の彼女が、
「ダ・スビダーニャ、プリハディーチェ」(さようなら、また来てくださいね)
と、言ってくれる。彼女とは今生の別れになる可能性が大だが、
「ダー、カニェーシュナ」(ええ、もちろん)
と応える。

もうすぐ、モスクワゆきSU840便の搭乗が始まる。モスクワでJALに乗り継ぎ、9時間半飛べば、明日の朝には成田に着く。シベリア横断に要するのは、約7時間。シベリア鉄道の1日は、飛行機の1時間なのだった。