愛しのペテルブルク

好きな街は、世界中にたくさんあるけれど、その中でも、ここサンクト・ペテルブルクは、最も好きな街の一つである。

洗練されたヨーロッパ風の建物が建ち並ぶ通りを歩いていると、ロシアにいることを忘れさせる。また、サンクト・ペテルブルクと聞いて、エルミタージュ美術館を知らぬ人はいないだろう。

エルミタージュは、美術館というより「宮殿」そのもので、10時の開館一番に入っても、18時の閉館までには、とても回りきれない。日本の旅行会社のツアーなどでは、エルミタージュで3時間程度しかとっていないようだが、一体どうやって見学するのかと思う。展示品一つあたり5秒眺めると、全部見るのに2年かかるという話もある。

私は去年、2日がかりで一通り回ったので、今回は、お気に入りのレンブラントなどに絞って見るつもりだったが、いざ見始めると、よいものは何度見てもよいのであって、結局閉館までいたが、大量に積み残してしまった。明日も、丸一日サンクト・ペテルブルクにいるので、また出かけようと思う。

自分でいうのもなんだが、実に贅沢な時間の使い方で、ツアーでは逆立ちしたって真似できまい。個人旅行バンザイである。ひょっとすると入場料を気にする向きもあろうが、所定350ルーブル(約1400円)のところ、学生はなんと「無料」。100%の学割というのは、そうあるものではない。学生の身分の人には、ぜひ今のうちに、JALで出かけることをお勧めしたい(言い忘れたが、今回、モスクワからサンクト・ペテルブルクの往復には、アエロフロート・ロシア航空を利用したが、日本からモスクワまで「JAL悟空」運賃を利用すれば、この区間の航空券は、JALがタダで付けてくれる。JALさまさまである)。

話は変わるが、エルミタージュで、一風変わった一団と遭遇した。東洋系の顔立ちで、スーツの胸元には…「金日成バッジ」!庶民ではあるまいし、朝鮮労働党の幹部か、高級官吏であろう。北朝鮮の人をこの目で見たのは初めてで、失礼ながら、ちらちら見ていたら、じろりと睨み返された。

エルミタージュからネフスキー大通りを歩き、かつてロシアの文豪・プーシキンも通ったという「文学カフェ」に立ち寄る。紅茶(ロシア語でチャイ)を飲みながら、ピアノの生演奏を聞いていると、あっという間に1時間が過ぎていた。