天孫降臨の地にて

stationmaster2006-04-04


旅先で、旅と全く関係のないことを書くのは面白みに欠けるかもしれないが、国際政治マニアの戯言だと思って読んでほしい。

日曜日から3夜連続で、NHKスペシャルは「北朝鮮」を特集した。無名の部隊長にすぎなかった金日成が最高権力を握るまで、社会主義ではタブーの「世襲」、近年の「瀬戸際外交」に焦点を当て、アメリカや旧ソ連の当局者をはじめ、北朝鮮亡命者(幹部クラス)、旧東ドイツハンガリーの元外交官などのインタビューで、その実像に迫った。5年前に、左翼や北朝鮮系の団体が主催した、昭和天皇に「有罪」宣告する集会を好意的に紹介したNHK(ちなみに、NHK極左偏向プロデューサーと朝日新聞が空騒ぎした「番組改変」騒動は、この番組をめぐるもの)とは思えぬほど、素晴らしい内容だった。

私はずっと、まともな話の通じぬ北朝鮮と、ロシア(旧ソ連)や東側諸国が、内心どう思って付き合ってきたのか、非常に気になっていた(中国は、北朝鮮と五十歩百歩であるから、ここでは無視する)。最近も、金正日の誕生日に、プーチン大統領が白馬を贈ったりすることに、首を傾げてきた(「トロイの木馬」なら面白いが)。

結論からいえば、北朝鮮は、東側にとっても「目の上の瘤」の存在だったようだ。表向きは社会主義の友好国として振る舞いながら、「金日成万歳」の個人崇拝独裁国家の扱いには、手を焼いたらしい。平壌に駐在していた東側の外交官(ソ連東ドイツポーランドチェコスロヴァキアハンガリールーマニアなど)どうしが、個人的なつてで仕入れた情報を交換し、北朝鮮という稀に見る特異国家を、批判的に分析していたようだ。

80年代、北朝鮮は、日本人拉致をはじめ、韓国大統領爆殺を図った「ラングーン事件」、表ではソウルオリンピック共催を韓国に持ちかけながら、その妨害を狙った大寒航空機爆破など、ビンラディンも裸足で逃げ出しそうなテロに奔走する。これら全て、すでに実権を握っていた金正日の指示だったという。

朝鮮総連」という、破防法を適用すべき過激派団体(と、その支援層)がなお隠然たる影響力を持つこの国で、よくぞここまで描いた。NHKには、拍手を送りたい。

写真は、日豊本線宗太郎駅