アーカイブス「中国から大使を召還せよ」

中国の忌まわしい「反日暴動」から、ちょうど1年になる。現在、北京の日本大使館では、修復工事が進んでいるが、これは、建物所有者・賃貸人たる中国政府(日本側は賃借している)の都合による「修繕」であって、国際法上求められる「原状回復」措置ではない。上海の総領事館など、外壁は損傷し、窓ガラスは割れたままである。遺憾ながら、謝罪は未だにない。

いわば、状況は1年前と何も変わっていない。以下、平成17年4月17日付「主張」を再録する。

国家ぐるみで頭がおかしいのは、隣の半島の2つの国だけではなかったようだ。最近の中国での反日「破壊活動」をめぐる中国(北京)政府の対応は、国際社会の一員としての立場を自ら放棄するものである。

国際法上、外交使節・在外公館の接受国(本件では中国)は、その安全を確保する「義務」を負う。その理由は、領域主権尊重の原則により、たとえば派遣国(日本)が自ら警察官を配置して、在外公館を警備することは、原則としてできないからだ。

3週間連続で中国で起こった事態は、もはや、合法的な(中国の法律については関知しないが)意見表明手段としての「デモ」の範疇を超えた「暴動」であり、れっきとした「犯罪」である。中国の官憲は、大使館への投石といった、犯罪行為を目の当たりにしながら、なんら有効な制止をしなかった。そしてあろうことか、バスを30台チャーターして、暴徒らを丁重に「送り届けた」というのだから、驚き呆れるほかはない。

たしかに、日本人への暴行・傷害、大使館の建造物損壊といった、犯罪行為そのものに、中国政府が関与したわけではない。しかし、私人の行為の結果であっても、国家は、「相当の注意義務」(due diligence)を尽くしたといえない限り、被害国に対して、国際法上の損害賠償責任を負うのである。

いくら中国政府といえども、外交部(中国外務省)が国際法を知らないはずはあるまい、という我々の淡い期待は、17日の日中外相会談で打ち砕かれた。中国側は、「我々は日本人に対して申し訳ないことをしたことはない」などと強弁したのである。

これほどまで国際法上のルールを無視した外交は、敵対国どうしを除いては、およそありえないといってよい。もはや、まともに付き合える相手ではないと判断すべきで、中国駐在の大使を召還するくらいの対応が望まれる。

暴動に巻き込まれ負傷した日本人は誠にお気の毒だが、今回の中国政府の対応も含めた一連の騒動は、醜き中国の「本性」を世界に知らしめてくれた。国内の中国シンパの人たちは、この「反面教師」をどう見ているのだろう。ぜひともお尋ねしたいところである。