主張

公共交通壊滅元年

いささか旧聞に属するが、何としても書いておかねばならない。昨年末、政府(財務省・国土交通省)は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務勘定に係る利益剰余金について、総額約1兆4000億円の内、1兆2000億円を来年度中に国庫納付させることを決めた…

もう許さない!高速道路政策の無定見

もはや、理解不能である。民主党政権の「指揮官不在」ぶりは目に余るが、その最たるものの一つが、高速道路政策である。長年、我が国の高速道路は、旧日本道路公団が建設主体となって整備を進めてきた。その結果、高速道路未整備地域は、今も、ごく一部には…

今こそ対北外交交渉を

タイトルだけを見て,不思議に思われた方は多いだろう。特に,ふだんの私の主張をよくご存じの各位にすれば,転向したのかと疑われたかもしれない。 しかし,決して,転向したわけではない。それというのも,北朝鮮の核・ミサイル開発に対して,我が国が採る…

「高速道路1000円」は国益に反する

「百年に一度」という大げさな修飾語を付ければ,景気対策として何をしてもいいと思っているのか,あるいは総選挙の票目当てか知らぬが,先般,高速道路の郊外料金を土曜・休日に限り一律1000円とする法律が成立した。「定額給付金」に引き続き,むちゃくち…

おかしな文民統制

平成11年、わが国は、当時の小渕総理の「勘違いリーダーシップ」のせいで、対人地雷禁止条約に署名した。この時、地雷は、防衛すべき海岸線の長い島国・日本にとって有効な軍事抑止力であるという議論はほとんどなされず、「地雷は悲惨な兵器だから禁止すべ…

空幕長論文―何か問題でも?

21世紀になってもこの国は,敗戦国シンドロームの「言論統制」から抜け出せないようだ。 田母神俊雄航空幕僚長が,民間の論文に「わが国が侵略国家だったというのは正にぬれぎぬだ」などと寄稿していたことが明らかになり,中韓両国との関係を慮った政府は,…

堂々たる「アジアの盟主」たれ

正式発足した福田改造内閣のテーマは「安心実現内閣」だそうだ。たしかに,年金や医療などの社会保障政策は,重要な政治課題である。きたるべき総選挙を見据え,内政重視の布陣を敷くのは当然かも知れない。しかし,世界に目を向けたとき,これ以上,福田総…

ジンバブエ情勢―主張せよ,日本外交

3年前,いわゆる「郵政総選挙」での自民党の大勝を,外国メディアは"landslide victory"(地滑り的勝利)と報じた。 今度は,"sweeping victory"(他者一掃の勝利)だそうだ。現地時間の今月27日,国際社会からの批判にも拘らず強行された,ジンバブエの大統…

もう許さない!―対北朝鮮外交の混迷―

歴史の評価は後世によってなされるもので,その渦中にいる者は,ただ,時の流れに身を任せるだけである。一つ確かに言えることは,ブッシュ米大統領は,後世,第二次大戦前夜の「ミュンヘン会議」でナチスに宥和政策をとったネヴィル・チェンバレン英首相と…

レールが結ぶ,アフリカ大陸。

きょう,横浜で第4回アフリカ開発会議(TICAD)が開幕した。アフリカ53ヵ国のうち,無政府状態が続くソマリアを除く52ヵ国が代表団(うち,40ヵ国は首脳クラス)を送り込んでおり,アフリカ諸国との関係強化をめざす日本にとって,またとない好機である。以…

胡錦濤来日―熱烈歓迎などできぬ

中国の胡錦濤国家主席が,きょう,来日した。中国の国家主席の来日は10年ぶりで,親中派論者は「暖かい春が来た」「日中の戦略的互恵関係は歴史的スタートラインに立った」などと,大はしゃぎしている。しかし,国際政治の現実を冷静に直視すれば,日本は,…

医師と法律家のあいだ

いま研修医をしている高校時代の友人と,約束したことがある。「医療事故を『犯人探し』を目的とする刑事手続きで処理するのではなく,事故原因の究明・再発防止を図る制度を,医師・法律家として,ともに実現しよう」と。今月3日,厚労省が発表した「医療安…

JRグループ・その後の1年

JRグループ・その後の1年(目次)はじめに 1 投資が続く都市圏輸送 2 夜行列車が消える日 3 会社間協力体制の萌芽 4 高速鉄道の未来 おわりに はじめに ちょうど1年前,JRグループ発足20周年を記念し,『JRグループ二十年の展望』(以下,『展望』)を上…

「真実」発見への飽くなき挑戦

(はしがき)本稿は,法務省での選択修習プログラムに応募するにあたって提出した小論文である。課題テーマが,「近年の犯罪情勢や犯罪に対する国民感情を踏まえつつ,刑事司法の役割やそのあり方について,各自が特に興味を持つ点を取り上げて論ぜよ」とい…

「反捕鯨」テロリストを許すな

あるニュースに,「転び公妨」(ころびこうぼう)という言葉が,脳裏をよぎった。これは,30年ほど前,大企業本社を狙った爆弾テロなど,日本国内で過激派が猛威を奮ったころ,公安警察がよく使った(?)手法で,不審者に「職務質問」をかける際,警察官が…

亡国のイージス

この件について,私は努めて何も言うまい,と思っていたが,書かざるを得ない情勢となってきた。おわかりのように,海上自衛隊(海自)の護衛艦「あたご」と,民間漁船との衝突事故である。最初に断っておくが,私は,海自を擁護するつもりはないし,安否不…

政治の横暴を許すな

といっても,ガソリンの暫定税率をめぐるつまらぬ攻防に,興味関心はまったくない。 小欄では常々,「整備新幹線」の建設に疑問を呈してきたが,最近,地方選出の与党議員の間から,荒唐無稽な暴論が声高に主張されている。 それというのは,「開業後にJRグ…

日本外交よ、主張せよ

19世紀末から20世紀初頭、同じことが起こっていれば、ミャンマー(ビルマ)は今頃、日本の植民地となっていたに違いない。ミャンマー最大の都市・ヤンゴンで、日本人カメラマンが、取材中に「射殺」された事件である。国際場裏を支配する大原則に、「主権平…

シリーズ郵政民営化・第2回

シリーズ郵政民営化・法律の世界はどう変わる?2 刑事手続法関係 日本郵政公社法第63条(郵政監察官) 公社に、郵政監察官を置く。 2 郵政監察官は、郵政事業(公社の行う事業をいう。以下この項及び次項において同じ。)に関する犯罪、非違及び事故に関す…

あれから6年―岐路に立つ日本

21世紀の幕開けとともに、世界を一変させた「9.11」から、まる6年が経った。折しも日本では、期限切れが迫った「テロ対策特別措置法」の延長をめぐって、政界は上を下への大騒ぎである。民主党の小沢党首の魂胆は見え見えだ。「テロとの闘い」において、日本…

シリーズ郵政民営化・その1

シリーズ郵政民営化・法律の世界はどう変わる? 第1回・刑事法編はじめに ご承知のように、去る平成17年10月21日、郵政民営化関連法が成立し、明治4年3月1日(注、旧暦)の近代郵便制度発足以来、国(平成15年度からは日本郵政公社)が運営してきた、いわゆ…

安倍さんへ―辞める必要はないけれど

第21回参議院議員通常選挙は、自民党の歴史的大敗となった。民主党が参議院の第一党に躍り出たことで、政府・与党にとって、今後の国会運営は相当困難なものとなろう。勢いづいた民主党は、「安倍政権に対する民意は明らか」として、解散総選挙に追い込みた…

地震対策は 待ったなし

きょう午前10時13分頃、新潟県上中越沖を震源とする強い地震が発生した。平成16年の「新潟中越地震」の傷跡も生々しい地域だけに、JR東日本各線の状況が、気になった。 柏崎駅では、停車中の普通電車(115系2両編成)の1両が脱線して傾いたが、その他の線区…

「過ちはくりかえしませんから」

「原爆投下はしょうがない」という、開いた口が塞がらぬ発言から、3日。 久間防衛大臣が、ようやく辞任した。私は、以前から久間大臣の資質を疑問視し、小欄でも、今年1月8日・2月20日の2回、防衛大臣の交代を求めてきたから、喜ばしい。 それにしても、久間…

アーカイブス「鉄道警察を全国一元に」

少し前になるが、JR北陸線の特急「サンダーバード」の車内で、女性のお客様が、乗り合わせた男によってトイレに連れ込まれ、強姦されるという、許しがたい事件が起きた。犯人の男は、湖西線の普通電車内などでも、同様の犯行を繰り返していた。安全であるべ…

アーカイブス「中国へ新幹線輸出は危険」

ブログを更新している暇もあまりないので、今回は、4年前に執筆した「主張」をそのまま転載する。本稿「中国へ新幹線輸出は危険」は、平成15年8月5日付で、われわれのホームページと、提携メールマガジンで配信したものである。先日の日記で紹介した、JR東海…

JRグループ20年の展望

JRグループ二十年の展望(目次) はじめに 第一 巨大組織・国鉄の崩壊 第二 JRグループのあゆみ 第三 分割民営化の功罪 1 そもそも「分割」とは? 2 「分割」民営化がもたらしたもの 3 長距離列車の衰退 4 全社的ネット予約システムの実現に向けて 第…

石原都知事に奏上す

石原慎太郎東京都知事は、4月の都知事選に向け、自民党の推薦を辞退することを正式に申し入れた。長男の伸晃氏が会長を務める自民党東京都連は、1月初め、党本部に推薦申請したが、都知事は「いかなる政党の推薦も受けずに戦う」と表明していた。私は、石原…

この不可思議なるもの

それにしても、北京で開催中の「6か国協議」というのは、不思議なものである。主題は「北朝鮮の核開発」(最近は「朝鮮半島の非核化」と言われることが多い)なのだが、2003年8月の第1回会議以来、事態はまったく進展を見せず、昨年10月には、北朝鮮は核実験…

活力ある地域交通をめざして

去る25日に召集された第166通常国会に、国土交通省は、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案(仮称)」など法案9本を提出すると発表した。平成12年から相次いで実施された、いわゆる「規制緩和」(鉄道事業法・道路運送法などの改正)によって、事…