お金の話

われわれ庶民にとっては、10万円・100万円でも「大金」。1億円とかになると、実感が湧かないものだが、世の中のカネの動きは、想像をはるかに超えている。

きょう、英国Vodafoneは、ボーダフォン日本法人株式のソフトバンクへの売却を完了した。英国本社のプレスリリースによると、日本法人の「企業価値」は"JPY 1.8 trillion"。trillionなんていう単位、滅多に目にしないが、billion(10億)のさらに上、1兆である。

JR西日本の平成18年3月期決算も、発表された。福知山線の事故があったから、当然、減収減益だろう、そう思ったとしたら、甘い。連結ベースで見ると、売上高1兆2400億9800万円(対前年比1.6%増)・営業利益1352億1800万円(同1.6%増)・経常利益1021億8100万円(同6.5%増)、当期純利益は465億2500万円(同21.1%減)となった。

この数字からいえることは、JR西日本の経営は好調そのもの当期純利益の大幅減は、福知山線事故関連費用を「特別損失」に計上したことと、前期にボーダフォン株式売却益を計上したことによる(平成16年6月にJRグループが英国Vodafoneに売却したばかりのボーダフォン株式を、英国は早くも手放したことになる)。

さらに、天文学的な数字が、どういうわけか日本が負担する、在日米軍再編に伴う施設移設費用で、約3兆円。戦後日本が、半世紀以上「平和」を享受できたのは、「平和憲法」のためでは断じてなくて、ひとえに、強固な日米同盟の賜物であるが、それでも、本邦外の合衆国軍施設に、わが国の公金を拠出する合理的理由は、ない。

それはとにかく、昨年、JR東海が「愛・地球博」に出展し、来場者数が企業パビリオン1位に輝いた「超電導リニア」。JR東海の試算では、中央リニア新幹線(東京−大阪)建設にかかる費用は、約9兆円。いくらJR東海といえども、一社で調達できる金額ではなく、「国家的プロジェクト」なのだが、合衆国軍に3兆円も出すくらいなら、国に、リニア「着工」を決断してもらいたい、と思うのは、私だけか。