運転阻害

新緑が目にしみるこの季節。結婚したいほど冬が好きな私だが、桜もとっくに散った4月末ともなると、愛しき冬への熱い想いも、あきらめがつく。

ただ、春が嫌いなことには変わりなく、いま一番困るのは、ブヨかショウジョウバエか知らないが、小さい虫が爆発的に増えることである。自転車で高速走行するのが趣味の私は、よく武庫川へ走りに出かける。武庫川の西宮側河川敷には、二車線のサイクリングロードがあって、クルマや「公衆立入」の心配なく、「走り」に集中できるのだが、緑が豊富なこともあって、虫がやたら多い。しかも、雲霞のごとく群れているので、たちが悪い。

その中に突っ込むと、顔にまとわりつく感触がある。服にも、びっしりとへばりつく。それだけならいいが、目や口に飛びこんでくる馬鹿者もいて、不快極まりない。

そこで今日は、マスクをして出かけた。これで、鼻と口は防御できるが、目は、どうしようもなかった。よければいいではないか、と思われるかもしれないが、時速30キロ程度で走行しているので、急ハンドルは非常に危険である。「ハンドルで逃げるな、まず止まれ」だが、虫のためにいちいち止まっていては、走りにきた意味がない。

先日、バラバラ死体の揚がった武庫川河口で折り返し、国道2号線をアンダークロスし、もうすぐJR東海道本線、というところで、一匹の虫が目に飛び込んできた。生理機能として、涙が出てくる。武庫川橋梁を渡る223系「新快速」が、涙に霞んだ。

いっそ、スキーのゴーグルでもしてこようかと思うくらいだが、何か名案はないものか。