3分でわかる国際政治

セルビア・モンテネグロ共和国を構成するモンテネグロ共和国で昨日行なわれた住民投票で、セルビア・モンテネグロからの「分離独立」票が過半数に達したらしい。そこで今日は、このニュースを契機に、注目すべき世界の動きを簡単に解説しよう。少なくとも、日本国外務省の分析よりは、有益であると信ずる。

<アジア大洋州

毎度おなじみ、瀬戸際外交。合衆国による金融制裁がよほど効いているとみえて、合衆国に構ってほしいための作戦であろう。付言すれば、わが国における「朝鮮総連」と「民団」の和解も、全ては金正日のしたたかな戦略である。

今月4日だったと思うが、ポル・ポト派政権時代のジェノサイド(集団虐殺)などを裁く国際法廷設置。この法廷の控訴審判事に、日本国検察庁の野口元郎検事が選任。野口検事は、国際法に詳しく、英語も得意という。活躍を期待したい。

<米州>

  • フジモリ元大統領、保釈

昨年11月、チリで身柄拘束されたペルーのフジモリ元大統領(日本国籍)が、半年ぶりに釈放。昨年、ペルーを訪れ、インディヘナ(先住民とスペイン系の混血)の人たちの根強い「フジモリ支持」を知り、日本人として胸を打たれた。ペルーによる身柄引渡し請求は、理由なきもの(したがって棄却さるべき)と思料する。

<欧州>

  • 旧ユーゴ、完全解体

冒頭にも書いたが、セルビア・モンテネグロからのモンテネグロ独立で、かつての「ユーゴスラヴィア連邦」は完全に解体されることとなる。今年3月、私がシベリアのイルクーツクにいる時だったが、ミロシェビッチ元大統領(国際法廷で公判中)も死亡。一つの時代が終わった。

これもちょうど私がロシアに駐在していた今年3月、ベラルーシのルカシェンコ大統領が再選されたが、「ヨーロッパ最後の独裁国家」といわれるだけあって、もう無茶苦茶。選挙干渉の嵐が吹き荒れ、野党指導者は軒並み逮捕。つい先日、拘置所から釈放される指導者を支持者らが出迎えたところ、「無許可集会」の現行犯で全員逮捕というから、笑うに笑えない。ロシアのプーチン大統領とは蜜月のルカシェンコだが、EU諸国は外交ビザ不発給措置を決定。当然である。

  • CISから独立?

ウクライナグルジアが、独立国家共同体(CIS)からの独立を画策、ロシアは猛反発。ロシア側の露骨な「対抗措置」(グルジア産ワイン・ミネラルウォーター禁輸)もどうかと思うが、これまでCIS内で恩恵を享受しておいて、手の平返すような二国もいかがなものか。

<中東>

「(西欧型)民主主義」は絶対の統治形態ではない。イスラームの伝統に合った民主制を敷いてほしい。

アフリカ州

かつて「アフリカの穀物庫」といわれ豊かな国だったジンバブエだが、ムガベ大統領が独裁に走り出したここ数年で、経済は破綻、年1000%ものインフレに見舞われている。ことの発端は、2000年、黒人の退役軍人らによる白人大農場の不法占拠を政府が黙認したこと。2002年には、白人農場を強制収用、従わない地主を逮捕した。これにより、イギリスや南アに脱出する白人が続出し、農業生産は低下、食糧危機・インフレに。昨年には、「農地収用をめぐる紛争を裁判所は受理してはならない」などという、驚くべき憲法改正を強行、混迷を深めている。2003年、英国連邦から脱退。

…いかがであろうか。思いつくままに拾ってみたが、改めて思うのは、平和な日本の有り難さである。