私には、2歳下の弟がいる。外見も性格も、私とは正反対。要するに、典型的な「今風の大学生」である。石原慎太郎裕次郎の関係と思ってもらえればよい。

某私立大学法学部4年生の弟は、今春、人並みに就活をしていた。ところが、先日、ある自動車メーカーの最終面接で、事実上の「辞退宣言」をしてきたという。役員が「うちの会社に来てくれるね?」と念押ししたのに対し、「いや、あの…、受かったら考えます」などと答えたらしい。就活の経験のある人ならわかると思うが、最終段階で「迷い」を見せるのは、自殺行為である。

わが弟は、何を考えているのか。

曰く、就活をしているうちに、サラリーマンに夢が持てず、航空大学校に入り直し、パイロットをめざすことにしたという。

これは、家族にとっても「寝耳に水」で、両親は猛反対した。だが、弟の決意は固かった。弟にすれば、兄はJR東海に行かずロースクールなんぞに通ってるのに、どうして自分はいけないのか、という思いがあったのかもしれない。

私は、両親と弟の言い分を黙って聞いていたが、最終的に、弟の味方に付いた。私とは似ても似つかぬ弟だが、心の奥底には、共鳴し合う何かがある。ともに走ろう、夢を目指して!

「のぞみは、かなう。」