反対意見

憲法の授業で、3人〜4人を一組として、起案課題が回ってくる。事例が与えられて、憲法上の問題点を論じるという典型的なスタイルだが、グループで答案作成するので、意見が合わないことも当然ある。

この課題でユニークなのは、最高裁の判決のように「反対意見」が付けられる点。つまり、3人のグループなら、2人の意見が揃えば、それが多数意見(法廷意見)となるが、納得できないもう一人は、自説を反対意見として開陳することができる。

さて、回ってきた課題は、国立大学が、敷地の一部を神社に提供しているというもの。政教分離を厳格に貫くと、違憲の疑いがある。私が答案の取りまとめ役だったが、他の2人から届いた起案は、案の定、結論は違憲だった。

私は、設例を読んだ瞬間から、結論は「合憲」と思っていたから、一通り答案をまとめ(正確には、2人の起案をコピペし)、反対意見の作成にとりかかった。

書いているうちに熱くなり、設例から全く離れ、「傍論」として、内閣総理大臣靖国神社参拝をも取り上げ、
「国家が戦死者を追悼するのは道義上の義務であり、そもそも慰霊とは、宗教との関わりなしにはおよそなしえないものである。これを『違憲』などと騒ぐのは、政教分離原則の真意も理解できぬほど、宗教的素養が絶望的に貧弱な証である」
などと、いつもの私になりかけたが、さすがにこれは遠慮した(ので、ここで書く)。