挑戦

昨日、母校同窓会の「夏の集い」があった。第一部の講演は、M&Aアドバイザーで15期の佐山展生(さやま・のぶお)さん。阪急・阪神の統合では、阪急側代理人として村上ファンドと交渉された方である。

佐山さんは、こうおっしゃった。

「今から10年後の自分を想像してみてください。10年後の自分にとって、いま『当たり前のこと』は、当たり前ではありません。迷ったら、今できることは、とりあえずやってみてください」

佐山さん自身、京都大学工学部を卒業後、製造業→銀行→投資ファンドM&Aアドバイザーと転身し、それぞれの経験が今につながっているのだから、説得力がある。

「私のいちばんのベースは、洛星の野球部です」
と、佐山さんは強調された。「報道ステーション」でも、そのことをおっしゃっていたが。

講演後の懇親会の席上、私は、用意してきた色紙を持って、佐山さんに挨拶に伺った。「時の人」でもある29歳上の大先輩に話しかけるのは緊張したが、気さくな方で、快く応対してくださった。佐山さんの親しみやすい人柄も、成功の原動力の一つにちがいない。

「あなたは今、どうされているのですか?」
と、聞かれた。学部卒業時、就職するか、ロースクールを受験するか迷ったが、法曹をめざすことにした、と私は答えた。佐山さんも、銀行転職前の一時期、司法試験受験を考えられ、実際に法律の勉強もされていた(我妻栄先生の「ダットサン民法」を読んで、法律学に魅せられたという)。

「心残りの資格は、法曹と、建築士なんですよ」
と、佐山さんは、笑った。そして、おそるおそる私が差し出した色紙に、こう書いてくださった。

「stationmasterさんへ
挑戦
H.18.8.5
佐山 展生」