リーダーたちの言葉

国鉄では、職員の勤続25年を節目として「永年勤続者」表彰をする慣わしがある。これは、JRグループ各社にも引き継がれており、先日、今年度の表彰式が挙行された。勘のいい人ならお気づきだと思うが、この時期に行なわれるのは、10月14日の「鉄道記念日」(国鉄時代の名称。現在の「鉄道の日」)に合わせたものである。

今年、表彰されたのは、昭和56年に国鉄に入られた方々だ。国鉄勤務が6年、JRが19年。三十路を前に、「去るも地獄、残るも地獄」の国鉄改革の荒波をくぐり抜け、再生したJRの現状を、どう見ておられるのだろうか。

さて、表彰する側の各社トップの言葉だが、それぞれ会社のカラーが出ていて、興味深い。個人的には、なんといってもJR東海の葛西さんのしびれるコメントが大好きだ。以下、「交通新聞」に掲載された範囲で、紹介する。

「皆さんが当時の国鉄に入社した1981年(昭和56年)ごろは国鉄の抜本的改革の必要性が叫ばれ、皆さんはその後の国鉄改革の中で幾多の困難を乗り越えて今日を迎えられたことと思う。将来にわたり永続的に当社が発展していくためには、社員1人1人が国鉄改革の経緯、自主自律の精神を忘れてはいけない。この精神を国鉄改革を経験していない後輩たちに伝え続けていくことも皆さんの使命だ」
「皆さんがこれを機にさらに高い志を持ち、リーダーシップを発揮して仕事にまい進するとともに、自らの仕事、ご家族を大事にしながら充実した生活を送っていくことを祈念する」

「皆さんは苦しい時を乗り越え、JR東海という世界最強・最良の鉄道企業集団をつくり上げるのに貢献された。その経験を次代に伝えるのが使命であり、心機一転して人生の第2フェーズを有意義に過ごしていただきたい」

同社・松本正之社長
JR東海が胸を張って歩ける会社になったのは、皆さんで実績を積み上げてきた結果であり、これからも1歩1歩前に向かって建設的に進んでいく必要がある。今後100年以上にわたって続いていく会社にするため、今後は後輩の育成にも力を注いでほしい」

「安全最優先の企業風土をつくり上げるためには皆さんの力が必要であり、これまで培ってきた技術をいかに後輩に伝え、継承していくかが当社グループを将来にわたり発展させていく上で大きな課題となっている。今後も家族の支援の下、会社のけん引役として若い世代を引っ張り、大きな役割を果たしてほしい。一層の活躍を期待する」

「日々真摯に、着実に仕事をこなして本日の栄えある受章となったが、まだ通過点であり、さらに精進して励んでほしい。大量退職時代を迎えて、これから4年間は会社を去る社員が多くなるが、先輩が去った穴を埋めて仕事を習得し、次の時代に受け継いでほしい」

「受章された皆さま方は、入社後6年が国鉄、その後の19年半がJRシステムに勤務された。国鉄時代には経営状況が悪くなっている時でもあり、さまざまなことがあったと思う」
「会社をさらに活力あるものとしていくためにも、より高度で、より広範囲で、若い社員たちを指導していただきたい」