亡命ロシアスパイの死

先日、「暗殺―危険な魅惑―」で紹介した、FSBロシア連邦保安局)の元中佐・リトビネンコ氏(英国に亡命)が、ロンドンの病院で、治療の甲斐なく亡くなった。毒物は、結局、特定されなかった。

亡命先のロンドンで毒殺未遂にあったロシア連邦保安局(FSB)の元幹部、アレクサンドル・リトビネンコ氏が23日夜(日本時間24日朝)、入院先の病院で死去した。タリウム中毒に近い症状を起こして治療を受けていたが、容体が急変した。警察当局は捜査を継続する方針だが、病院では毒物は特定できないとしており、事件解明は一層困難になった。

ロンドン中心街の病院は23日夜、「あらゆる延命措置を施したが、急激に容体が悪化し、リトビネンコ氏は亡くなった」と発表した。

死亡に至った原因物質は頭髪が抜け落ちて呼吸器障害を起こすといった症状からタリウム化合物の可能性が強いものの、病院側は原因物質の特定は不可能と判断。時間とともに消滅する放射性タリウムが原因との毒物専門家の指摘にも疑問を呈している。

リトビネンコ氏はロシア人の女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさんの殺害事件に関連して、1日にロンドン中心街の寿司バーで、イタリア人と会った後、体調を崩して治療を受けていた。このイタリア人は会見で、リトビネンコ氏の毒殺未遂事件への関与を否定している。

一方、リトビネンコ氏は同日、イタリア人と会う前に、ロンドンのホテルで2人と会い、紅茶を飲んだという。当初、ロシア人の知人1人といわれたが、23日付の英紙タイムズは「ウラジーミル」とだけ名乗る同氏の知らない人物がいたと報じた。警察当局はロシア人の知人、イタリア人に次ぐ「第3の男」として関心を持っているという。
産経新聞WEBより)

私は、日本では数少ない「親露派」で、ロシアは大好きな国であるが(もちろん、ここでいう「国」が「統治機構(政治権力)」の意ではないのは、いうまでもない)、仮に、本件がロシア情報機関による「暗殺」だとすれば、対象を間違っていると思う。

ロシア語で「暗殺する」は"убить из-за угла"(ウビーチ・イズザ・ウグラー)という。直訳すると、「片隅から殺す」。世界中で、最も片隅から殺さるべき人物、それは、金正日である。