あの人は今

2日連続で、ロシアの話題である。

ご存知の方も多いだろうが、私は、ロシア語を勉強している(現在、一時休止中)。「ロシア語は、頭がおかしいか、病気でないと勉強できない」という冗談を聞いたことがあるが、実際、独学で修得するのは困難である。私は、将来のシベリア鉄道取材に活かせるだろう、と考え、学部2回生の時に、「増加単位」としてロシア語を履修した(第二外国語は、ドイツ語である)。

私が師事したのは、本学の人間・環境学研究科(総合人間学部)の服部文昭教授と三谷惠子教授(当時は助教授)だった。服部教授の授業は、5月の連休を過ぎてもアルファベットをやっていた気がするが、内戦勃発直前に旧ユーゴのベオグラード大学に留学経験があり、「ロシア語は片手間」と公言される三谷教授(専門はスラヴ諸語)は、「来週、小テストをします」とおっしゃるから、習った文法事項の確認程度かと思っていたら、いきなり長文の「ロシア語作文」という、なかなかのスパルタ教育だった。どんどん指名され、答えられないと容赦なく突っ込まれる三谷教授の授業は、今から思えば、ロースクールの授業スタイルそのものだが、このおかげで、「地力」が付いたと思っている(それを、服部教授の授業で復習)。

こうして、1年間ロシア語を勉強し、初級の試験では「優」をいただいたが、3回生になると、法学部の専門科目が増え、総合人間学部提供のロシア語を履修する時間がなくなった。だが、語学は、続けていないとどんどん忘れてゆく。そこで、次善の策として、NHK教育テレビの「ロシア語」を、毎週見ることにした。平成15年4月から16年3月までの1年間、旅行等で見られないときは、ビデオに録画したりもした。

授業のような「強制力」が働くわけでもなく、ロシア語が好き、というだけでは、モチベーションを保てたか、多分に心許ない。1年間続いた理由は、ただ一つ、番組アシスタント役のアンナ・ベズグラヤさんを見続けるためであった。

アンナさんの隠れファンは、かなり多かったのではないかと思う。ひょっとしたら、翌年度も続投してくれるかな、と期待したが、番組終了後、アンナさんの消息はわからないままだった。ちなみに、教育テレビの「ロシア語」は、16年度から改編され、半年単位に縮小されたほか、今年度に至っては新規制作はなされず、17年度版の再放送という凋落ぶりである(「アラビア語」が加わったため)。アンナさんが出演した15年度こそ、「ロシア語」講座が最後の輝きを見せた1年だったのだ。

先日、ネットをしていた私は、声にならない叫びを上げた。2年余り、ずっと気にかけていた、アンナさんの現在の消息がつかめたのだ。そして、同時に、深い落胆をも覚えたのだった。その理由は、各自確認されたい。

http://www.kiajapan.com/hello05.html


参考 NHKロシア語会話」2003年度
http://www.nhk.or.jp/gogaku/2003/russian/performer/index.html