さよなら神岡鉄道

神岡鉄道の気動車


今日限りで、旧国鉄神岡線を引き継いだ神岡鉄道(猪谷−奥飛騨温泉口)が廃止となった。

廃線が近づくと、全国から鉄道マニアが集まる。神岡鉄道は、いつ乗っても、1両の気動車が空気を運んでいたが、先週末などは2両に増結しても乗り切れないほどで、「開業以来の賑わい」だったという。

全国に、旧国鉄のローカル線を引き継いだ第三セクターは数あるが、神岡鉄道は、好きな路線だった。といって、景色がよいわけでもない。開業が昭和41年と比較的新しく、全線の半分以上がトンネルで、「神岡地下鉄」と揶揄されたりもした。第三セクターで存続したのも、濃硫酸輸送の貨物列車のためで、旅客輸送は「片手間」でしかなかった。

分岐駅のJR高山本線「猪谷駅」にしても、ピンと来る人のほうが少ないだろう。究極に地味なローカル線だった。だが、不思議な魅力があり、平成11年11月の初乗車以来、何度か乗りに出かけた。

最後にもう一度、とも思ったが、マニアだらけの列車に乗っても、おもしろくもなんともない。路線のイメージが崩れるだけである。同類のお前が何を言うか、と叱られそうだが、自宅で静かに「さよなら」を告げた。

写真は、今年2月14日、神岡鉄道・飛騨神岡駅で。雪に閉ざされた神岡の町は、神秘的なまでの静けさが支配していた。