現場へ

JRでのアルバイトを辞めて、暇になるかと思いきや、すべきことが多すぎる。もっとも、これは、九州を1週間旅した後、来週はフランスに出かけるという、自分で決めた旅のスケジュールのいたずらなのであるが、ともかく、大急ぎで、修習関係の書類を揃えたり、フランスのホテルを予約したり、赴任地の家探しをしたりしているわけである。

ところで、いまや、新幹線のチケットも、航空券も、海外のホテルも、すべてインターネットで予約・購入できる。私は、当たり前のように、秋田の家も、ネットで探し、適当なところを見つけて、あとはお金を払うだけ、という状態にこぎ着けた。

ここでふと、待てよ、と思った。旅ならば、たとえハズレのホテルでも、
「こんな宿、二度と泊まるか!」
と、文句を言っていれば、済む。万事うまくゆく旅より、トラブルのあった旅のほうが、思い出深かったりさえもする。

しかし、家は、そうではない。10ヵ月間という、まとまった期間を過ごすのだから、「こんな所、二度と住むか」では、済まない。

ここは一度、契約を白紙撤回し、実際に現地を見てみることにしよう。そう、思い直した。

「事件は、現場で起きている。」のだから。