わが青春に悔なし

今夜,NHKのBS2で,黒澤明監督の映画『わが青春に悔なし』(昭和21年)をやっていたので,途中から見た(それまで,「ごくせん」を見ていたため)。

京大法学部出身者には,ことのほか考えさせられるところの多い映画である。

というのも,映画のモチーフとなっているのが,「瀧川事件」(と,スパイ・ゾルゲ事件)だからだ。

映画そのものには,思想的なニュアンスはないので(民主化促進ということで,GHQから推奨されはしたようだが),右の人も左の人も,それぞれの立場で見られる。

戦前,京都帝国大学法学部でともに学び,一人の女性に憧れた,二人の青年。一人は検事になり,もう一人は,左翼運動に関わるようになる。間もなく迎えた日米開戦。そして,三者の運命が交錯する。

昭和20年ころの吉田山,時計台,そして「法経第四教室」…。

60年後の今も変わらないその姿は郷愁を誘うが,この国は,60年,一歩でも前に進んだのであろうか。