11年間思い描いた,この日

12月18日付けをもって,私は,東京地方検察庁検事に任官する。

私が検事を志したのは,中学3年生だった平成9年の秋だったから,11年越しの夢が,ようやくかなう。

振り返れば,視界ゼロの連続であった。

平成16年3月,当時就職活動をしていたJR東海に入らず,ロースクールに進学するという決断をした時も,検事になれるという保証はどこにもなかった。ロースクール入試に受かるかさえ,分からなかった。

昨年9月,新司法試験に合格したのは大きな一歩だったが,修習生活も,楽しいことばかりではなかった。

検事志望者にとって,検察修習が何番目に回ってくるかも重要といわれているが,私は,最も不利とされる第四クールだった。秋田の場合,班割り(修習順)は,名前の五十音順で機械的に分けられたらしく,どうにもならないことを嘆いても始まらない。「第四クールだからって,可能性がゼロなわけじゃない」という教官の言葉だけを信じて,修習に臨んだ。

もちろん,私自身,相当に努力した。これは,自信をもってそう言える。けれども,それに加えて,秋田での出会いや,指導官との巡り合わせなど,「運」の要素も大きかった。

まさに,針の穴をくぐり抜けたようなもので,もう一度同じことをやれといわれても,同じ結果になるかは分からない。ただ,私は,自分にできる限りの「人事」を尽くし,「天命」を待とうと思った。

教官からは,弁護士の就職活動もしておけ,と何度も言われたが,私は,なるつもりが全くない弁護士の就職活動など,する気にはなれなかった。今から思えば,無謀だったかもしれないが。

私は,中学3年生当時,純粋に抱いた検事の仕事への憧れを,今も持ち続けている。この初心を忘れることなく,愛する日本国を理想に一歩でも近付けるべく,不断の修練を積みたいと思う。