笑顔の別れ

先日,秋田修習時代の同期で東京にいる面々が,大阪に異動する私の壮行会を開いてくれた。

全国転勤は,宮仕えの宿命であり,これから,出会いと別れを繰り返していくことになる。修習の同期とは,「今生の別れ」というわけではないけれど,しばらく会えなくなる。

今の私があるのは,決して,私だけの力ではない。高校卒業の時,私が起草した「卒業生の言葉」の中で,「自らの線路を,自らの手で切り拓いてゆきます」と宣言した。その信念は,いささかも変わらないけれど,「線路」は,多くの人たちの支えの上にある。同期の励ましがなければ,私は,夢をかなえていなかったかもしれない。

秋田の同期は,私に,黄色いバラのプリザーブド・フラワーをプレゼントしてくれた。帰ってから,私は,黄色いバラの花言葉を調べてみた。

花言葉というのは,一対一対応ではなくて,いくつかあるが,その中に「笑顔の別れ」というのがあった。笑顔の別れ―。

黄色いバラは,この花言葉を知った上で選んでくれたのだろうか。そうだとすれば,実に心憎い。

ところで,「笑顔の別れ」といえば,もう一つあった。東京で,かなわぬ恋もしたけれど,その人とも,笑顔で別れ,私は,あさって,関西に帰る。