交代

政権交代」が時候のあいさつのように飛び交った今日,もう一つの「交代」劇が行われた。

JR西日本山崎正夫社長が今日限りで退任され(取締役としては残られる),佐々木隆之新社長が就任された。山崎さんが社長に就任されたのは,福知山線列車事故翌年の平成18年2月1日のことだった。JR西日本初の理系(技術畑)出身のトップとして,企業風土改革に取り組んでこられた。

山崎さんの社長在任期間は3年7か月で,改めて振り返ってみると,それなりに長い。だが,3年足らずで退任を余儀なくされた垣内前社長より,山崎さんの「御世」のほうが短かったように思う。

おそらく,JR西日本社員の多くも同じ思いに違いない。JR西日本は,あの事故の後,確かに変わろうと努力してきた。組織の行動原理を変えるのは,一朝一夕にできることではない。外部の目から見ると,改革の歩みは遅々としていたかもしれないが,社内の空気は大きく変わったと思う。

小欄では,山崎さんの社長内定にあたって「理系社長への期待」,垣内さんの退任にあたって「垣内さんへ―贈る言葉」と題して,JR西日本に対し,大いなる期待を込めて注文をつけてきた。

「理系社長への期待」(平成17年12月28日付け)
http://d.hatena.ne.jp/stationmaster/20051228/1135781794

「垣内さんへ―贈る言葉」(平成18年1月27日付け)
http://d.hatena.ne.jp/stationmaster/20060127/1138376006

上記で書いたことは,佐々木新社長にも,受け継がれるものと確信する。鉄道会社を取り巻く経営環境は厳しさを増しているが,「良質の危機感」を強く持って,難局に立ち向かってほしい。

余談だが,佐々木社長の就任で,初めて,JR本州3社(東日本・東海・西日本)の社長が3人とも東大以外の出身者となる(東日本の清野さんは東北大,東海の松本さんは名古屋大,佐々木さんは一橋大)。実力あふれるトップとして,各社の経営を背負いつつも,安全対策に,増収に,「オールJRグループ」という連帯意識を持ち,一層の協力を望みたい。