パイロットと検事と

かなり前のことになるが、小欄で、ドラマの再放送の魅力について書いたことがある。

http://d.hatena.ne.jp/stationmaster/20051123/1132748673/

昨夜、テレビでやっていた映画「ハッピーフライト」を見ていると、同じく飛行機を舞台にしたドラマ「GOOD LUCK!!」を無性に見たくなったので、今日、TSUTAYAでDVDを全巻借りてきて、6話まで一気に見た。

GOOD LUCK!!」は、平成15年1月〜3月に放送された。まだまだ、最近のドラマのように思うけれど、そこここに7年という月日の流れが感じられた。ドコモの「mova」(PDC方式)時代の携帯電話機など、もはや骨董品級であるし、航空マニアの視点で見れば、機首に「全日空」と漢字で書いたB747-400(いわゆるジャンボジェット)が国際線に就航しているというのも、「古き良き時代」となってしまった(ANAの機体ロゴは、現在、「ANA」に統一され、B747-400は国際線から引退している)。

それはとにかく、7年前にこのドラマを見た時、私は、まだ学部2回生であった。7年前と比べて、自分がどの程度成長したかは心許ないが、少なくとも、社会人にはなった。

そういう自身の境遇の変化を踏まえて、もう一度、このドラマを見ていると、気づかされたことがある。

7年前、学生だった私は、キムタク演じる破天荒なパイロットに、「こんなパイロットおらんやろ」と思っていた。もちろん、航空専門家から見てありえないことが多いのは、ドラマの演出として目をつぶるとしても、もっと根本的な、パイロットの描かれ方に対する疑問であった。

ところが、7年ぶりにこのドラマを見てみると、不思議なくらい、主人公に感情移入ができて、違和感はほとんどなかった。もっといえば、主人公の生き方に、社会人2年目を迎えた私自身が、だぶって見えた。

パイロットと検事は、組織に所属して仕事をするが、最終的な責任は、個人が負うという共通点がある。

私は、上司に対する「報告・連絡・相談」は怠らないようにしているつもりだが、ともすれば独断専行に走るきらいがあるのを自覚している。

この私に対する分析は、私が最も尊敬し、信頼する上司から指摘されたので、間違っていないと思う。

「決断をするためには、まずは冷静な分析が必要だ。」

主人公の副操縦士に対する機長からの指導は、私に対する指導そのものなのだった。