地震対策は 待ったなし

きょう午前10時13分頃、新潟県中越沖を震源とする強い地震が発生した。平成16年の「新潟中越地震」の傷跡も生々しい地域だけに、JR東日本各線の状況が、気になった。

柏崎駅では、停車中の普通電車(115系2両編成)の1両が脱線して傾いたが、その他の線区も含め、鉄道にご乗車中のお客さまにけが等はなく、不幸中の幸いであった。

大災害が起こるたびに、不公平に思うことがある。公共交通機関のなかで、鉄道だけが、施設の損傷を自前で復旧しなければならないことである。空港の施設が壊れても、航空会社が負担するわけではなく、空港設置者(国・地方公共団体)が直してくれる。道路にしても、バス会社やトラック会社は、何も負担する必要はない。ただ、開通を待っていればよいのである。

これに対して、鉄道の場合は、国からある程度の助成は受けられるが、大半は鉄道会社の負担である。施設の所有権が鉄道会社にあるから、といってしまえばそれまでだが(権利者負担原則)、社会基盤としての重要性は、道路や空港などと同じはずである。

もちろん、鉄道会社としては、嘆いていても始まらない。二条のレールを死守するのが、「鉄道」という生業である。お客さまにけがをさせてしまうと取り返しがつかないが、施設が壊れたぶんには、直せばよい。

ところが、日本には、呑気なことを言ってもいられない鉄道がある。それは、東海道新幹線である。

近い将来、東海地震は、必ず起こる。全ての新幹線には、地震の初期微動(P波)を感知し、大きな揺れ(S波)の前に電車を止めてしまう、地震警戒システム「ユレダス」が設置されていて、万一脱線しても、人的被害を最小限に抑える工夫がなされている。また、JR各社では、阪神大震災クラスの揺れに耐えられるよう、高架橋の耐震補強を施工している。

その意味では、安心してご乗車いただいてよいのだが、施設に被害が出るのは、どうしても避けられない。東海道新幹線が、長期間にわたって不通になるようなことがあれば、社会経済的損失は、計り知れない。

東海道新幹線の「バイパス」として、輸送システムの二重系化を図るためにも、「中央リニア新幹線」建設の意思決定は、もはや一刻の猶予もない。多くの国民に、その必要性を理解していただき、コンセンサスを得る必要がある。

財源が限られていることを思えば、北海道や北陸に、無駄な「整備新幹線」を建設している場合ではない。いま、決断しなければ、国家百年の大計を誤ることになる。


(本稿とは関係ありませんが、下記もご覧ください。)

「CO2削減は、もう、待ったなし。」

http://www.jrfreight.co.jp/news/200706koukoku.html