「昭和の日」に思う

まず、こちらの表をご覧いただきたい。

http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/rireki/2007/04/list.pdf

先日、設置が発表された、安倍総理の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の委員の顔ぶれである。

13人の委員のなかに、私と密接な関わりのある方が、2人おられる。葛西敬之JR東海会長と、本学法学研究科の中西寛教授である。

昭和39年の国鉄入社以来、「鉄道」人生一筋の葛西さんが、なぜ、と思われる向きもあろう。葛西さんは、いうまでもなく鉄道経営のプロフェッショナルであると同時に、明確な「国家観」をもった、数少ない財界人である。

この国の財界には、中国でのビジネスに影響が出る、などと主張し、首相の靖国神社参拝に「反対」を叫ぶ売国奴が五万といるが、葛西さんは、違う。オピニオン雑誌『諸君!』平成16年4月号に掲載された、葛西さんの論文「新幹線売込み『中国詣で』は国益に反する」は、読者各位もぜひ読むべきである。

本学の中西教授は、国際政治学が専門で、昨年度までは、ロースクール法科大学院)・公共政策大学院共通の演習科目「安全保障論」も担当されていた。私は、もちろん受講したが、たまたま、私が発表を担当したテーマが「軍事力と国際法」であった。国際法上の「武力行使禁止原則」の意義について、私なりの理解を強調したのが、思い出深い。この科目、今年度から講座廃止となったようで、非常に残念である。

さて、この「懇談会」に対し、朝日新聞をはじめ、左翼系メディアは、結論ありきだ、などと批判している。だが、私は、そうは思わない。

集団的自衛権は、国際法上、国家の固有の権利である。「集団的自衛権は、国際法上保持しているが、憲法上行使できない」(内閣法制局)などという、屈曲した従来の「通説」こそ、理解に苦しむものといわなければならない。

結論ありき、なのではない。「集団的自衛権は現行憲法上も行使可能」というのは、「1+1=2」と同じ、「公理」といってよいのである。

「左翼」が「進歩的知識人」と呼ばれ、空虚な「反戦平和」が「正義」だった時代は、とっくに去った。安倍内閣の掲げる「戦後レジームからの脱却」は、着実に進んでいる。「昭和の日」のきょう、司法試験の勉強をしながら、そんなことを思うのである。